スタンダードプードルのお泊まり練習から本番までの感動のストーリー
ママの愛犬を信じる強い気持ちと根気強さに涙がたくさん溢れました
当店にシャンプーでよく来て頂いているスタンダードプードルのRuffin(ラフィン)ちゃん。
とっても賢くて、いつもステキなスタイル(長年お付き合いのあるトリマーさんが施術しているそうです)で圧倒的な存在感。当店がオープンして約半年経ち、ようやくうちにも大型犬が通ってくださるようになったかとしみじみ思っていました。
そんなある日、宿直明けの私が自宅で仮眠を取ってからお店に行くと、Ruffinちゃんが当店の室内ドッグランにいるじゃありませんか!正に、目を疑う光景でした!聞くところによると、なんでも、当店でのお泊まりに向けて少しの時間だけ練習しているとのこと。
しかし、ママ大好きっ子のRuffinちゃんは、ママが出かけようすると、喉が枯れてしまうのではないかと思うくらいひたすら遠吠えをし、挙げ句の果てに、ドッグランの柵を乗り越え、当店の出入口に隣接しているドッグカフェへ続くドアを手で開けて、脱走を図ったのです!
「お泊まりは無理だろう」
飼い主様にはお伝えしませんでしたが、正直、私の頭の中にはこのフレーズしか残りませんでした。極度のママ大好きっ子に加えて、分離不安が入っていると感じました。
ところが、しばらく経ったある日、またしてもドッグランにRuffinちゃんがいるじゃありませんか!今度は、2時間のお泊まり練習とのこと。相変わらず、遠吠えを繰り返していました。スタッフも、脱走しないか側でつきっきりです。
ただ、持ち前の知能の高さと、ドッグトレーニングを受けているだけあって、コマンドはどのスタッフが行ってもこなしてくれました。ママがいない寂しさを紛らわすためにも、人間関係を構築するためにも、コマンドを行ったり、大好きなボール遊びなどをして気を紛らせました。
そしてまたしばらく経ったある日、またドッグランにRuffinちゃんの姿がありました。もう、この光景に慣れてしまった自分がいました。今回は、4時間のお泊まり練習にステップアップ。ママの根気強さには驚かされました。ただ、少しずつではありますが、遠吠えが減ってきてはいました。
そしてまたある日のドッグランに、Ruffinちゃんがいました。この時には格段に無駄吠えが減っていました。
しかし、私はプロとして失格です。
分離不安の小型犬のお泊まりは実績はいくつもありましたが、大型犬の分離不安は前例がなかったのです。「安心して私どもに(お泊まりを)お任せください」と、言い切ることができなかったのです。
Ruffinちゃんを信じているママ、はっきり言い出せず自信のない私。結局私が放った言葉は、「もしかすると、安全上(脱走防止)のため、就寝時はストレスにならない程度に、長いリードをつけてRuffinちゃん専用のスペースで過ごしてもらう可能性があります」、でした。
そして、お泊まり練習最後の日。この日は6時間という長丁場。就寝時を想定しての、実際のハウスを用いた練習でした。この頃には、遠吠えはほとんどなくなっていたと記憶しています。
さすがはRuffinちゃん、「ハウス」というコマンドは完璧にこなしてくれます。が、すぐにハウスから出てきてしまう始末。「この状態で、夜ちゃんと寝てくれるだろうか…」。もう心配しかありません。
ついに、お泊まり本番の日がやってきました。なんと、2泊3日という長期お泊まり当日。この日は、総勢10頭のわんちゃんがいました。ママのご要望により、犬慣れしていないRuffinちゃんはドッグランを1/3に柵で仕切って、そのエリアに隔離することになりました。
ところが、他のわんちゃんが気になって、ハウスの上に乗って柵を乗り越えようとするのです!これは危険だと判断し、就寝時までハウスを出さないようにしようという結論に達しました。
そして迎えた初めての夜。この日は、Ruffinちゃんの他に3頭お泊まりしていました。その中でも、常連のコーギー・ラキちゃんは迫力があります。
私がドッグランの2/3のスペースに折り畳みベッドを設置すると、ものすごい勢いでラキちゃんが布団の中に潜り込んできました。もちろん、Ruffinちゃんが寂しがるといけないので、柵越しで目の届く隣接した場所にベッドを設置しています。
21時頃消灯すると、Ruffinちゃんはハウスから出てきて私に近づこうとしますが、ラキちゃんが甲高い声で反応(威嚇とまではいきません)すると、しょんぼりハウスに戻ってしまいました。
お泊まりのわんちゃんはみんな遊び疲れているので、ぐーぐーいびきをかいている子もいれば、ベッドからはみ出て口を開けて寝ているわんちゃんなど様々です。これなら、みんなしっかり睡眠が取れるなと思い私も夢の中に入りました。
ところが、深夜0時を過ぎると、Ruffinちゃんが入口の方を向いて遠吠えを始めたのです。治っていた遠吠えがぶり返したのです。その後、1:30にも遠吠えを2〜3回ほど繰り返していました。
翌日、状況を飼い主様とスタッフに説明、スタッフには、お昼寝を3時間程度しっかり取るよう指示しました。案の定、ストレスと少しの睡眠不足からか、下痢ではないものの、うんちはどうにか手で掴めるくらいの硬さになってしまいました。
そして迎えた最後の夜。この日は、Ruffinちゃんの他にわんちゃんは1頭だけだったので、ドッグランを2/3に仕切ったところがRuffinちゃんのエリアです。今晩は、広々のんびり睡眠が取れると思っていました。
消灯時間である21:00のおよそ1時間前、翌日は雨が降るとの予報だったので、Ruffinちゃんがお散歩に行けなかったら大変と思い、店内を開放して、Lucu開店以来初となる、Lucu店内大開放ドッグランを催しました。
すると、通路をスタスタと軽快に歩いたと思ったら、大好きなトリマーさんがいつも仕事をしているトリミング室に入りクン活、その後、ドッグカフェで座っていた私の横に来てゴロンと横になりました。
時々、ロールスクリーンで覆ったガラスの隙間からママを何度か探すそぶりをしていましたが、3回ほどするとすっかり諦めて、ゴロンゴロンと寝返り、お腹を出して触らせてくれました。
この姿を見て、私は涙が溢れてきました。
Ruffinちゃんは、ママを信じているのだと!
Ruffinちゃんは、ママはいつかお迎えに来てくれる。だから、へっちゃら。今日は、お散歩に連れてってくれるこのおじさんで我慢しよう、と言っているかのように。笑
その後、Ruffinちゃんのスペースに折り畳みベッドを設置すると、Ruffinちゃんはハウスには入らず、私の布団に登り、足元で丸くなり、朝までグッスリと眠ってくれました。朝起きてすぐにうんちをすると、昨日まで少し柔らかかったうんちは正常に戻っていました。
そして、いよいよ最終日、お別れの朝。最後の散歩も、完璧なリーダーウォークを行い、私の下手くそな「シット→ハンド→チェンジ」もこなしてくれます。涙
最後の散歩から数時間後、ママからは、Ruffinちゃんがママの姿を見て興奮して、また柵越えしないかを配慮して、ハウスや荷物一式をRuffinちゃんにバレないように車に運んでから登場するという演出を企画してくださりました。
ママとの久しぶりの再会では、私たちには見せたことがない、きっと、目にすることはない、とびっきりの笑顔で飛びいついていきました。
こうして、Ruffinちゃんを愛するママの強い愛情が、3日間という長いお泊まりを成功させたのでした!
食欲も衰えず、うんちが少し緩かった時があったものの、睡眠も十分に取れ、体調は非常に良い状態でお返しすることができました。
この場をお借りして、心からRuffinちゃんを愛し、根気よくお泊まり練習をしてくださった飼い主様、心の底から信じ抜いた強い愛情に、感謝申し上げます。
感動を与えてくださって、本当にありがとうございました。私たちも、少しではございますが、成長できたと信じています。
またお会いできる日を、スタッフ一同、心よりお待ちしております。
すごく成長したRuffinちゃん、私どもとの再会の際、歯に噛んだ笑顔をしている姿が目に浮かびますよ♪
心から、感謝を込めて
Lucu店主
沼田 一生
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